宮島街道名勝旧跡

2018/07/27 広島県廿日市市

「歴史散歩」98 ~広島県廿日市市/福佐売(ふくさめ)神社

一地方の女性の善行が中央の正史に

 
細い路地の先に見える「福佐売(ふくさめ)神社」

 西国街道に沿って、
広島県廿日市の町家を西へ進むと可愛川の手前を北へ入る細い路地の先に神社が見える。
名は福佐売(ふくさめ)神社。
 平安時代の初期の「三代実録」の貞観14(872)年の記録に
節婦・榎本福佐売の善行に対し、位を与え、米で納める租税を免除したこと、
またそのことを村の門に掲げて公表し表彰したという記録がある。

 
 一地方の女性の行いが、中央の正史に記録として残るということだから、
大変珍しいことで、一説では彼女の死後、
地域の人々はその徳をしたって神社を建てたという。

 
 ところが、時がたつとこの縁起は忘れられ、
福佐売神社という神社の名もいつしか訛(なま)り、
ついには福島神社と呼ばれるようになっていた。

 
 そんな文政年間、幕末に近い江戸文化華やかなりし頃、
当時の浅野藩の殿様(重晟)のお子で、
「白杏公子(はっきょうこうし)」と号した浅野長懋(ながとし)は
日本や中国の歴史に通じ、歌を詠み、絵も描くという文化人で、
この福島神社も元は榎本福佐売の善行から起こった福佐売神社ではないかと気づくと
当時の広島藩の歴史書「芸藩通志」の編纂(さん)にもあたった
頼山陽の叔父にあたる頼惟柔(これやす=杏坪きょうへいとも言う)にさらに詳しく調べさせ、
正しい歴史をその地域に知らせたという。

 
 以来、福佐売神社は元の名に戻り、
その縁起は今では傍らの石碑に刻まれている。
ただ平安時代の福佐売の具体的な善行がどのようなものであったかは、定かでない。
 
【学習共同体 河浜塾 河浜 一也】
 
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